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富裕層に対する課税強化について(1/2)

2016/04/28

マイナンバーに代表されるように、税務当局は、納税者の収入や財産に対する監視の目を強めています。特に富裕層に関しては、海外との取引を利用しての脱税行為が後を絶たないため、国際的な連携のもと、課税強化に努めているようです。相続税や消費税、所得税が増税路線にあるなかで、課税漏れがあっては、不平等が生じることからの要請でもあります。今回、次回では、主に富裕層の財産や取引を捕捉するための制度を紹介します。

 

【『財産債務調書』および『国外財産調書』】

 

 平成26年度(平成26年7月~平成27年6月)における所得税の税務調査の結果、海外取引を行っている者の1件あたりの申告漏れ所得金額は1,944万円となっており、全体の1件あたりの申告漏れ金額877万円の約2.2倍に及んでいます。

 また、同じ平成26年度における相続税の税務調査においても、海外資産の申告漏れ課税価額は指摘があった納税者1件あたり4,034万円(全体では2,657万円)となっています。このような実態から、海外取引や海外資産については国税当局も積極的に調査を実施しています。それとともに、保有する国外財産について自ら申告する制度が平成26年度から施行されています。これが「国外財産調書」になります。

 以前より、年間所得金額が2,000万円超の者については財産債務明細書を提出することになっていましたが、平成25年度において、提出対象者は36万人にもかかわらず、提出者は16万人と44%程度にすぎませんでした。そこで、平成28年からは提出義務者を絞り込んだうえで、「財産債務調書」として提出が義務付けられました。

 これらの調書制度はいずれも12月31日時点の状況で提出義務を判定し、翌年の3月15日までに提出しなければなりません。

 なお、国外財産調書と財産債務調書の両方の提出義務のある者はいずれも提出しなければなりません。両方提出する場合、国外財産調書に記載した国外財産については、財産債務調書に合計額のみを記載すればよく、詳細は省略できます。

 財産債務調書は、所得が2,000万円以上かつ、資産総額が3億円以上または1億円以上の有価証券を保有している者に提出義務があります。国外財産調書は、5,000万円を超える国外財産を有している者に提出義務があります。提出漏れや提出に不備があると、所得税の申告漏れがあった際に、加算税が5%追加されます。

 国外財産調書には、上記の加算措置以外に、虚偽の記載や提出漏れがあった際には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金という刑罰が科せられることがあります。

 

【国外転出時課税制度】

 

 株式等の売却益については、租税条約上、株式を売却した者の居住している国に課税権があります。これを利用し、巨額の含み益を有する株式を保有したまま、株式等の売却益を非課税匡に居住してから売却することが可能でした。そこで、平成27年度税制改正により、国外転出時課税制度が創設されました。これは、国外転出時に株式等を譲渡したとみなされ、その譲渡益に所得税が課税される、という制度です。

 また、対象株式等の保有者から国外居住者に、贈与や相続で株式等が移転したときにおいても、この「国外転出時課税制度」が適用されます。

 なお、国外転出等の日から5年以内に売却等をせずに、

① 帰国をした場合

② 対象資産を日本国内に居住している人に贈与した場合

③ 本人が亡くなり、対象資産を相続等により取得した相続人全員が日本国内に居住す

ることとなった場合

 には更正の請求により、課税を取り消すことができます。また、担保の提供や納税管理人の選任、毎年の継続適用届出書の提出等の一定の要件を満たすことにより、納税の猶予(最長10年)を受けることもできます。

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